建築家の講義 ル・コルビジェ
お題「#おうち時間」
最近、家にいる時間が長くなり、図書館から本も借りれない状態なので、放置していた本を読み返すことにした。
大阪の靭公園の近くにある、柳々堂(りゅうりゅうどう)という書店は、一見するとどこにでもあるまちの本屋さんなのだが、実はあらゆる建築本が置かれている本屋さんである。かつて勤めていた設計事務所にも定期購読している本は柳々堂の人が届けてくれていた。
私は大学でいちおう建築を勉強していたのだが、本気の建築学生ではなかったので、こういった本屋さんの存在を知ったのも働くようになってから。建築のことを知りたい!と思うようになったのも働いてから…数年前の大学生という、たっぷりの時間とそこそこのお金(バイト代)があったはずの期間はほぼ受身のまま過ごしていたのだった。
まあ、そんな私が20代半ばぐらいに、無理やり遊びに誘った建築仲間と一緒に入った柳々堂で初めて購入した本が、この「建築家の講義 ル・コルビジェ」である。これはシリーズになっていて、当時、コルビジェ、カーン、コールハースの3人の建築家の本が出版されていた。(その後、ミースとカラトラバも出版されて全部で5巻)
私はコルビジェ、友人はカーンそれぞれ購入し、後で貸し借りをした(気がする)。
いずれも建築学生にはとても人気建築家なのだけれど、私自身は建築家なしの建築のようなものが好きだったので…授業で詳しーく話題に出てきて勝手に覚えるコルビジェ以外の建築家にはあんまり詳しくなかったのだった。
調べてみたら、重版の予定もなさそうなので、店頭にあるのみなのかも。
さて、本題に戻っていこう。
ル・コルビュジエ(1887年-1965年)はスイスで生まれ、フランスで主に活躍した建築家。本名はシャルル=エドゥアール・ジャヌレ=グリ。モダニズム建築の巨匠といわれ、特にフランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエと共に「近代建築の三大巨匠」として位置づけられる 。(wikiより)
2011年にフランスへコルビジェの建築を見に行った(東日本大震災の直後だった)
ということで、ここからはこの本のこと。
1943年に出版されたコルビジェとパリの学生との対話をまとめた本の和訳である。
これを読むとコルビジェって単体の建物以外にも都市計画もしているし(実現したかどうかは別にして)、雑誌は出すし、本は出すし、建設者協議会作って統括するし…本当に色々やっていて、いつ寝てるんやろうというぐらい。
そして、コルビジェが生きた時代もまた、19〜20世紀の狭間で、ヨーロッパが発展と混乱を迎えていた時代だったことも伺える。コンクリートとガラスの建築が出はじめる頃でもあり、「科学」というものが、浸透し始めてる頃でもある。
コルビジェの若いころは伝統的なものと新しいものが同時に存在し、「都市」「建築」に対する考え方も新旧様々だったのだろう。新旧のせめぎあいの中で、伝統的なものに敬意を払いながら、新しい「モダニズム(白い箱)」を提唱している。
今では当たり前になっているけれど、これまで学校の課題にならなかった「住宅」というものに面白さを見出したところも当時は新しい考えだったことも明記されている。
アメリカとフランスの考え方の違いとか、様々な都市の都市計画プランを提案したり、ヴァナキュラーな建築や集落を研究するなど多彩な活動をしていることが示されていた。
多種多様な視点からの講義文は読んでいて結構面白かったが、訳文のクセなのか講義形式だから少し、威圧的な文末の扱いになっているので、少し疲れる…(苦笑)
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