「異人館画廊」シリーズ
異人館画廊シリーズも集英社オレンジ文庫創刊時に発刊した文庫の1作品である。
それ以外で読んだもの↓
こちらもすでにシリーズ完結済みの「思い出のとき修理します」の原作者である谷瑞恵先生の「異人館画廊」シリーズ
図書館でばーっと本を探していた時に「思い出のとき修理します」が面白かったので谷瑞恵先生の別の小説を読もうを思って見つけた。
この異人館画廊の主人公千景(ちかげ)も両親の離婚後は祖父母に育てられたという人物である。 ちょいミステリー要素あり。人死んでるし。。。
シリーズ1作目の”盗まれた絵と謎をよむ少女”のあらすじ
独自の意味を背景や小物として描きこんだ絵画=図像(イコン)。英国で図像学(イコノグラフィー)を学んだ千景は、画廊を経営する祖父の死に際し帰国するが、ある図像を鑑定するように依頼され…。
祖父が亡くなり、10年間暮らしていたイギリスから日本に帰国した18歳の千景は、スキップで大学を卒業した天才少女でもある。というのも、幼少期、誘拐されたことを機に、両親が離婚、その後祖父母に育てられている。
誘拐された前後の記憶が抜け落ちており、「親に捨てられた」という心に深い傷を負いながら、学問に夢中になる頃でその気持ちを封印してきた少女でもある。
祖父が勝手に決めた結婚相手で幼なじみで画廊オーナーの透摩や祖父母がつくった絵画の謎を解くグループ「Cube」の個性的なメンバーと一緒に絵に関する依頼を解きながら、偶発的に千景自身の失われた記憶が思い出されていく
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その前に、図像学って何やねんと思って調べてみた
図像学は図像を読み解く学問、図像術は図像を用いた絵。サブリミナルの絵画版のようなもの。
物語では、図像術を使った絵画を見た人は、潜在的に操られたようになると言われているが、図像術そのものが半分忘れ去られており、現在では、これを用いて絵を描ける画家はいないとされているため、図像術を用いた絵画は世界中高値で取引されているという設定。
1巻ごとに1つの謎が解かれていく。。。
タイトルだけなので、何作目がわかりづらいシリーズ
千景は賢い大人びた子どもだったことやイギリスで長く暮らしていたりするせいか、少し高飛車でちょっと偉そうな物言いをするので、読んでいてもイラってする言い方だなあと思うようなところがある。18歳で飛び級で博士号を取っているからずっと周りは大人ばかりで育ってきたので、一般的な子供時代を過ごせなかった、、とい背景も影響しているようだ。日本に戻ってきてからは周りの大人たちからかわいがってもらいながら少しずつ丸くなってきていく千景の成長も面白いと思う。
2作目が贋作師とまぼろしの絵
英国で図像学を学んだ千景は祖母の営む『異人館画廊』で暮らしている。
ブロンズィーノの贋作の噂を聞いた千景と幼馴染の透磨は高級画廊プラチナ・ミューズの展覧会に潜入するが怪しい絵は見つからなかった。
が、ある収集家が所持していた呪いの絵画が、展覧会で見た絵とタッチが似ていることに気づく。
しかも鑑定を依頼してきたのが透磨の元恋人らしいと知って!?
シリーズ1作目を読んだときは、千景が心も態度も素直じゃないし頑な性格があまり好きになれなかったけど、シリーズで借りてしまったので、2作目を読んでいくと千景の性格にも慣れたし(笑)徐々に成長してきて、物語の面白味もわかってきた。
しかし、絵をことばで表現しているので想像するのは、結構難しい。
3作目が幻想定演と罠のある風景
図像術の絵を求めて離島に住むブリューゲルのコレクターを訪ねた千景。
波田野は邸の庭園でブリューゲルの絵を再現し、そこに図像術を込めようとしていた。
庭園を完成させれば絵を見せると言われた千景は庭園の謎を追うが、透磨はそれが千景の父・伸郎の設計だと気づく。
父の見えない悪意に苦しむ千景は、さらに波田野の息子が起こした事件に巻き込まれてゆき…。
ミステリーらしい感じ。黒幕は誰か!?みたいな。
4作目が当世風婚活のすすめ
成瀬家は、代々“禁断の絵"を守ってきた旧家だ。その絵が盗まれた。現当主の美津に絵をさがしてほしいと頼まれた千景と透磨だが、件(くだん)の絵は異人館画廊に置き去りにされていた。同時期、失踪中の次期当主候補・雪江が遺体で見つかるが、容疑者として浮上した男が千景の誘拐事件の関係者だと判明し!? 深まる謎の中、記憶の封印が次第に解けてゆく。緊迫の美術ミステリー!!
これまで謎だったCubeのメンバーの1人とすれ違う…
5作目が失われた絵と学園の秘密
自殺未遂した少女、消えた絵……。鈴蘭学園美術部で起こった複数の事件には、図像術につながる何かが感じられる。
そんななか鈴子の提案で、千景は転入性として生徒の一人を装い、学園の潜入調査を決行することになって……!?
今まで経験することのなかった学生生活に戸惑いながらも、次第に学園に溶け込んでいく千景――。嘘をついているのは誰……!?
此花統治郎の孫で、目立った存在の千景に近付いてくる疑惑の同級生たち――。それを心配するあまり、やきもきしながらも見守る透磨――。
矛盾する少女たちの証言に翻弄され、時に危険にさらされながらも、二人は、事件と……呪われた絵画「ユディト」の謎を追う――。
その先には、千景の過去ともつながるような学園の秘密が隠されていて――!?
図像術に狂わされ方のパターンも色々
イギリスでは大学を卒業したけれど、日本の高校に編入生として潜入する千景。
完結6作目が透明な絵と堕天使の誘惑
千景の元に
「僕が誰だかわかるかい? 僕たちは運命の糸で結ばれている。――もうすぐ僕は、絵を完成させる。見た人を不幸にする絵だ……」
と脅迫めいた手紙が届いた。
早速、調査に乗り出すキューブのメンバーたち。
プラチナミューズの矢神が関わる可能性も浮上し、謎は更に深まって……。
消えた図像術の研究者、有名な心霊スポット「切山荘」、四つの絵……点と点が線となり、やがて千景の過去へと繋がっていく。
誘われるように、自らの失った記憶に向き合おうとする千景を透磨は案じ、守ろうと二人の距離は近付いて――!?
千景は誘拐されたころの記憶をなぜ取り戻したいのか?どうして図像学を学んでいるのか?自分でも気づかない心の奥の気持ちが少しずつあらわになってきて。。。
苦しい記憶の中にある、透磨との幼いころの思い出は千景だけでなく、透磨も一部記憶が抜けている。そして、cubeのメンバーの一人も、実は誘拐事件に関わっていたり。
色々な伏線が明らかになっていく最終巻
しかし、マンガになれば少女漫画なのだろうから、、、結末はあんまりすっきりしないけど。もちろん、伏線は明らかになるし、誘拐事件の全貌も明らかになるんだけども
オレンジ文庫は作者のあとがきもなく、解説もなく、物語のみなので、もう少し欲しい!と思うこともある(笑)